理想のスタイル (2):隠れたアジェンダ
さて、昨日のエントリーにさっそくコメントをいただきました(どうもありがとう)。たしかに、シマケン(ひさしぶりー)のコメントにあるように、「フォーマル」と「インフォーマル」を分けた時点で、それはある種の「時間割」をつくっているようなものですね。「フォーマル/インフォーマル」という言い方は、おそらくあとでふり返ってみたとき(あるいは状況と関わりを持たない観点から見たとき)、じぶんはどのようなとき --- どのような状況で --- 学んだかについて整理するのに便利なのかもしれません。「さぁ、いまはインフォーマルな時間だから、学びましょう!」という話ではないわけですから。
ところで、ぼくが担当している科目には、ひとつの共通するテーマがあります。年間をつうじて考えると、「研究プロジェクト」以外に「ネットワークコミュニケーション」「フィールドワーク法(旧:「社会調査法B」)」「行動と社会関係」「情報環境論」を担当していますが、いずれの科目でも“「教室」を拡張する”ということが重要なテーマになっているのです。これは、いわば“隠れたアジェンダ(hidden agenda)”なので、(書くことで“隠れた…”ではなくなるわけですが)ことなる科目間のつながりについては、あまり話したこと(整理したこと)がないはずです。それぞれの科目で取り扱うべき内容(講義科目としての目的)はちがっていても、考えようによっては、さまざまな講義内容・方法をつうじて、“「教室」を拡張する”ことの意味を、伝えたいのかもしれません。つまり、「教室」そのものの性質を変えてみる、あるいは「教室」の外へと活動を拡げることで、学習の目的・方法・場について再度考えてみる…ということです。
「研究プロジェクト」については、運用面では毎学期少しずつ実験を続けているのですが、ここ数年の考え方はさほど変わっていません。
とりあえず、暫定的に整理しておくと:
・「プロジェクト」と呼ぶべき活動は、「教室」ではなく、どこかちがう「現場(=フィールド)」が中心的になる。:たとえばフィールドワークやゲームとしてつくられる〈場〉など。「プロジェクト」によって、毎週決められた時間に決められた部屋に行く…というルーティン化される活動のリズム/スピードが変わり、どちらかというと「インフォーマル」な〈場〉としての特質が際立つ。そのとき・その場で意識できなくても、ふり返ってみると、創造的な活動として評価できることが多い(ことを願う)。・「時間割」上で決められた「研究プロジェクト」は、おもに、メンバーが発表をおこなう〈場〉であり、同時に和む(まったりする?)〈場〉である。:「教室」の外での活動を前提として、それぞれの「プロジェクト」について知る、あるいはゲストや大学院生の活動について知識を得る。上記の「プロジェクト」とくらべると、より「フォーマル」な側面が際立つ(準備されたプレゼンテーション;プレゼンテーションのためのファシリティーの要件;全体の進行の構造化など)。同時に、メンバー全員が集う〈場〉としての愉しさや居心地のよさが求められる。
「時間割」のおかげで、メンバー全員が定期的に、フェイス・トゥ・フェイスで会うことを可能にするのが「研究プロジェクト」の時間です。じつは、「グループワーク」をしようと思って、全員がおなじ時間・場所に集まろうとすると、スケジュールの調整は難しいわけで…。定期的に会うことができれば、まずはお互いの無事を確認する…というところからはじまって、メンバーの近況について知り、ある種の連帯感や帰属意識を感じることのできる時間として、とても有意味なのだと思います。前のエントリーで書いたように、もし、「インフォーマル」な場面がより重要だという立場を取るならば、それは、より「パーソナル」な関係を深めていくことにつながるのではないかと思います。週2回の「教室」での集まりは、その「インフォーマル」な〈場〉への“アクセスポイント”のようなものですね、きっと。
これは、あくまでも「理想のスタイル」なので、現実的にはいろいろな調整をして、現在の「研究プロジェクト」の姿になっているのだと思います。そのためには、くふうも必要だし、理想ばかりではいられないのですが、そのあたりの「折り合い」をどうつけるのか。これについてはまた別のエントリーで整理してみます。
(つづく)

コメント
最近このサイトで話題になっているインフォーマルな場のひとつの具体的な形として、メディアセンター一階のラウンジ化案は、とても面白いアイディアだと思いました。
実は私もSFCのなかにカフェがあったらいいと考えていたんですが、私のは学生ラウンジあたりを想定した外界と接したオープンカフェです。SFCはみどりが豊かだから、それを利用してはどうかと。昼間はふつうのカフェで(ごはんも食べられる)、夜は楽器を弾きたい人がジャズなどを弾いたりして、一日中そこへ行けばだれかしら学生や教職員に会えるみたいな、あったかくて気の密度の濃い場があってもいいんじゃないかと。
ただ、アメリカの本屋さんのなかにあるカフェのように、メディアセンターと直結しているほうが目的がはっきりしているので利用度が高そうだし、コーヒーに限定したほうがメニューとしては実現可能そうですよね。
昨日α館一階で準備中の看板を見たのですが、紙一枚にビジネスアイディアをまとめるとそれをコンサルティングしてくれる企画があるらしいですよ。
Posted by: ふらっと | 2004年06月01日 16:35