今回の「フィールドワーク展II」は、昨年よりも、だいぶクオリティが上がったように思います。とくに4年生の作品はそれぞれの個性が出ていて、面白かったです。フィールドワークの成果を展示するということをつうじて、いろいろと考えさせられます。素朴ながら、ぼくたちは(誇りを持って)ふたつのことに立ち向かわなくてはならないのです。

まずは距離や拡がり。たとえば“路上系”を名乗る面々は、山手線の各駅に降り立って、それぞれのテーマ --- カオとかシワザとか自転車とか --- で採集をおこないました。山手線1周くらいなら、日ごろサボっていてもなんとかなりそうな気もしますが、とにかくすべての駅前(ちゃんとボリューム感のある)駅周辺を歩いたことはスバラシイ(ぼくも、池袋と西日暮里のあいだの、いくつかの駅にはいまだに降りたことないです…)。敬意を表します。はつらつとしたフットワークで、より遠くへ、より広く、を心がけることが大切なのです。何も考えずにまちを歩くのも問題ですが、テーマが見つからない…とかなんとか言っているヒマがあったら、すぐにでもカメラを持ってまちに出かけなくてはならない。

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【2006年2月3日:携帯写真 PONT(恵比寿)にて】

そしてもうひとつは、流れゆく時間です。たとえば、1年間にわたる定点観測の記録を「作品」として仕上げるためには、1年かかります。そう、あたりまえのことです。1年間の観察記録をもとに成果をまとめて、来年の今ごろ展示するとしたら、もうスタートさせていなければ間に合わないのです。

35年間、食事(朝・昼・晩!)の写真を撮り続けたドクター中松はすごいけど、ち●うさんも、すごい。ケータイで撮影された写真は、その夥しい数にも圧倒されるのですが、続けた(続けている)ということが重い。ふだんは、ハラスメントぎりぎりのところまでひとの持ち物や服装をチェックしているち●うさんですが、1枚1枚、ケータイで写真を撮り続けて数千枚。さりげなくテーブルクロスにする、という作品のつくりかたも、「あー、いや、そんなのべつに大したことないッスよ」と言われているようで、ちょっと悔しい。意識しなければ気づかないような小紋となって、テーブルに散りばめられた写真には、3年という年月が封じ込められています。

最近、オサレなクルマを買ったひ●ちくんも、感想のハガキに書いていました。フィールドワークに必要なのは「忍耐」だ…と。なるほど、たしかにそうです。ぼくは、“耐”という字があまり好きではないので、ありていですが、「継続」だ…と言うことにしましょう。そしてそれは、展示を続けることだ、とも思います。「フィールドワーク展」はまだ「II」(2003年度の展示を数えてもまだ3回目)です。卒業生からも出展したいという声があるので、そんなことになったら、毎年、わいわいがやがや愉しいはずです。そのためにも、続ける。いずれは、ち●うさんの作品が壁や床を覆うことになるのでしょうか。

  • 2006-02-07 00:20:36
  • ちょっと一息。
忙しかった1週間。豆をまいたり、太巻きをほおばったりするヒマもなく、駆け抜けました。

【いろいろ】
●1月31日(火):学部CBクラスター 卒業制作発表会
●2月1日(水)・2日(木):修士課程最終試験(最終報告会)
●2月3日(金)〜5日(日):フィールドワーク展II @POINT(恵比寿)
●2月6日(月):CRESTユビキタスコンテンツシンポジウム 2006 @六本木アカデミーヒルズ40
・加藤文俊(2006)POST:フィールドワークをデザインする CREST Ubiquitous Content Symposium 2006, Proceedings (pp. 38-39).

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【2006年2月3日納品:冊子が完成(ハガキサイズ;146頁)。展示に間に合いました…お●ちゃん、ごめんなさい。】

そして、この間に卒業制作発表会の資料のとりまとめをしたり、採点をしたり、そして展示に間に合うようにポストカードや冊子の編集・印刷をすすめ、CRESTシンポジウムのための原稿を書いて…。と、なんとも忙しい毎日でしたが、大きな問題もなく無事に完了しました。展示のふり返りなどはまた別途。あ、外は雪。

さて、花束を持ち帰った翌朝。歩いて5分足らずのところにある鰻屋さんを訪ねました。か●ちゃんがアルバイトをしている姿を一度くらい見ておこう、と思ったのです。偶然とはいえ、なぜこんなにもうちの近くでアルバイトをしているのか、その理由はいまだに不明です…。

ここの鰻は格別です。何度か蒲焼きとかお弁当は買ったことがあるのですが、店内で食べるのは、じつは初めてでした。すぐ脇で焼いたばかりの鰻が、目の前でうな重になって…もうこれからは、お弁当じゃ満足できないかもしれません。まだ11時前だったのですが、お弁当を買いに来るひと、店内に入るひと、思っていたよりも出足が早くて、あらためて常連さんの多い店だということがわかりました。社長もおかみさんもとても気さくで、「江戸前」がにじみ出ています。いままでは、ひとりの客として向き合っていたのですが、この日から「か●ちゃんの先生」として、距離が少し縮まったように感じられました。

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【写真はすべてか●ちゃんが撮ったものです】

店先で働いているか●ちゃんは、かっこよかった!です。大学にいるときは、隙だらけで、時々意味不明のことを言ったり、難解な絵を描いたりするのですが、鰻屋で働く姿は“かっこいい”ということばが一番ふさわしい。そう、べつにか●ちゃんにかぎらず、誰でも、真剣に何かに向き合って仕事をしている姿は“かっこいい”はずなのです。もちろん、教員という立場からは、そういう姿を大学で見たい…と期待したりするのですが、教室という場所が少し窮屈すぎるのでしょう。学生と一緒にフィールドワークに出かけたり、他愛のない話をしたり、ハガキや絵手紙をやりとりするのも、できるだけ教室や“学事日程”にしばられない時間と場所をつくって、かっこいい姿を見てみたいからなのかもしれません。

できたてのうな重を食べながら、おかみさんといろいろと話をしました。か●ちゃんが、がんばって明るく働いていることを、とてもうれしそうに話してくれました(もちろん、失敗とか、いたらないところはまだまだあると思うけど)。ぼくを気遣ったお世辞や社交辞令ではないはずです。べつに、ぼくのことを褒められたわけではないのですが、お弁当を手際よく包んでいるか●ちゃんを、ちょっと誇らしく思いました。照れくささもあってか、あまり学生を褒めることはしないのですが、ひとにじぶんのゼミの学生を褒めていただく…というのは嬉しいものです。
そして、ふと「お前の話はもう聞きたくない。だれかがお前のことを話すのを聞きたい…」と、語るアルフレード(※『ニューシネマ・パラダイス』ですよ)を思い出しました。うむ、暖かいぞ。

  • 2006-01-27 23:58:20
  • CRESTユビキタス・コンテンツシンポジウム
【シンポジウム】CRESTユビキタス・コンテンツシンポジウム2006が開催されます。
日時:2006年2月6日(月)11:00-17:30
場所:六本木アカデミーヒルズ40(六本木ヒルズ森タワー40階)
 詳細はこちら → http://kmd.sfc.keio.ac.jp/

花束をもらいました。きょうは、今学期最後の授業だったのです。
でも、じつは学期の「終わり」は、年度末に向けて、期末試験、入試、報告書の作成、会計報告や確定申告などなど…事務的な仕事の「始まり」です。そんなわけで、ふだんは学期の「終わり」というのは、さほど意識することがありません。実際に、修士の学生が最終試験にパスしたら、4年生を中心に企画されている展示(卒業制作展)が無事に終わったら、そして例の20000字レポートがきちんと提出されたら、みんなにご苦労さまと声をかけて、祝福するつもりです。

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4年生が、“最後の授業”だということを感慨ぶかく話していたのを耳にして、不覚にも感傷的になってしまったのですが、どうしても「終わり」という感覚がなくて、あまり気の利いた話をすることができませんでした。方法もチャンスもいろいろあるので、ぼくからのメッセージは、じわじわと伝えていこうと思います。
まだ“最後”じゃないから。

昨年12月に実施したフィールドワークでは、ひとりひとりがハンディGPSを持って、まちを歩きました。調子の悪い端末もあったのですが、22人分の行動軌跡を記録することができました。雪の上に、たくさん足あとを残して帰ってきたわけですが、こうやって見てみると、またちがったかたちで、ぼくたちの体験をふり返ることができます。

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【2005年12月18日(日):金沢にて・今回はGARMINのgeko201/301を使ってみました。】



【22人の軌跡:いちおう、最初のやつは干支にちなんで、犬みたいに見える?!軌跡です。最後のほうで、酉?(ダチョウ?)も出てきますのでお楽しみに。】
※画像をクリックすると、スライドショーのように順番に22枚見ることができます。

地図の情報を載せていないのですが、おおざっぱに、左下のほうが片町、竪町、左上のほうが金沢駅です。まん中が、香林坊、兼六園、21世紀美術館のあたりです。

  • 2006-01-06 09:15:32
  • お知らせ
下記のとおり、「特別研究プロジェクト」を開講します。受講希望のひとは、資料(講義概要)をよく読んで、2006年1月25日(水)20:00までにメールで連絡してください。10〜15名程度の学生数を想定しているので、希望者が多数いる場合は選考します。
なお、このプロジェクトに参加した学生は、2006年度春学期に履修登録をおこなうことが義務づけられています。(2単位申請できます)

【特別研究プロジェクト】
テーマ:モバイルリサーチ
日時:2006年2月27日(月)/3月6日(月)〜9日(木)/3月30日(木) 時間は調整しますがほぼ半日〜1日かかります。※3月7日(火)は、フィールドワークをおこないます。

・モバイルリサーチ(講義概要など)
[ mob_05F.pdf]

三が日くらいは、お酒を飲んで、おせちとお雑煮を食べて、テレビを見ながらごろごろする…のが正しい!お笑い系もいいのですが、やはり『田舎に泊まろう!』(テレビ東京)です。じつは、ぼくはこの番組が大好きで、ついつい見てしまうのです。

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【2006年1月3日:世田谷観音

元旦に放映されたエピソードは、どれもなかなかよかったのですが、とくに印象的だったのは、最後の旅。野村真美が、2年ぶりに鹿児島の甑島(こしきじま)を訪れ、92歳のおばあちゃんと再会します。彼女がふたたびやって来ることを聞きつけたひとびとが集まってきて、一緒にお寿司をつくったり、三味線を奏でて、唄ったり踊ったり。そして、布団を敷いて眠ります。
翌日、別れの時が来ます。この番組を見たことのあるひとなら、もう“お馴染み”のシーンなのですが、それでも、泣けてきます。番組の最後で森光子がコメントしていましたが、泣くつもりがなくても、なぜか涙が出てきてしまう。
 「ほんとうに、つかの間でしたねぇ」
とおばあちゃんは言います。「つかの間」ということばが、あまりにも自然に出てきて、しかもその場を語るのに一番ふさわしく感じられました。そのせいかどうかわかりませんが、野村さんは、船に乗り遅れてしまいます。ふだん一緒にいる、身近なひととの別れではなく、一宿一飯というほんとうに短い時間を共にしたひととの別れだからこそ、沁みるのでしょうか。「つかの間」の儚さが、涙をよぶのでしょうか。

考えてみると、昨年は、ちょっとしたきっかけや、偶然の出会いから、いろいろなひととのつながりが生まれました。まずは「つかの間」を大切にすること。そして、「ちょっとした/偶然」を、丁寧に育てること。それを忘れないようにしながら、今年も、五感を駆使してまちを歩きます。「つかの間」をたくさん集めてみたいと思います。

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