加藤文俊研究室では、2004年の秋ごろから、全国のさまざまなまちでフィールドワークをおこない、滞在中に現場で何らかの成果物をつくる「キャンプ」という実践をすすめてきました。それは、まちで出会った人びとの日常生活に触れ、簡単な取材をとおして感じたことを、ポストカード、ビデオクリップ、音声コンテンツ、ポスター、かわら版などの「ちいさなメディア」としてまとめる試みです。
「移動編集室」は、フィールドワークの現場に一時的につくられるメディアづくりの場所です。たとえば、スマートフォンがあるだけで、ラジオのような「実況中継」ができます。デジタルカメラとノートPCがあれば新聞(かわら版)をつくることができます。
現場でつくって、すぐに公開・配布するので、人びとの感想やアドバイスも、すぐに返ってきます。不特定多数ではなく、特定少数のリスナーや読者の顔を想い浮かべながら情報を編纂するプロセスは、人と人とのコミュニケーションやメディアの役割について考える、貴重な体験をもたらすはずです。