いけずなまち|おやすみなとみらい(此下千晴・芳賀友輔・橋本彩香, 2016)

時間的変化や空間的相異とともに、「いけずなまち」が見え隠れするという理解は、必然的にぼくたちの調査方法の再考を促します。たとえばジョン・アーリが『モビリティーズ:移動の社会学』で示唆するように、調査者自身もつねに〈移動している(オン・ザ・ムーブ)〉という状況を、明示的に扱うフィールドワークの設計が求められることになります。たとえば対象者の動きを追うことによって、人びとのふるまいや、「いけず」が観察可能になる状況をとらえることができるはずです。

Given the understanding that “unpleasant designs” become observable under different tempo-spatial conditions, we can begin to further explore research methods such as “shadowing” and many other qualitative measures. As John Urry suggests in his book “Mobilities,” researchers are always in motion.

Tokyo Crossing(boijeotrenauld, 2015)

   

昨年の冬、手製のベンチやテーブル、ベッドをかついで移動している、フランスのアーティストたちに出会いました。数十メートルはこんでは、腰をおろしてひと休み。野宿をしながら、東から西へ(上野から渋谷まで)歩いて東京を横断するというプロジェクトです。家具は、ごく自然にまちにとけ込みます。彼らは、〈移動すること=留まること〉を交互にくり返しながら、まちを観察し、道ゆく人びとと語らっていました。アートというよりも、あたらしい「モバイル・メソッド」を提案しているように見えました。